8月15日の終戦記念日にちなんで、『おじいちゃん戦争のことを教えて』(中条高徳・著)という本を読んでみました。これは、1998年に刊行された単行本を文庫化したものです。これまで数多く読んできた本の中で、この1冊は僕にとって、『武士道』(新渡戸稲造・著)に次ぐ愛読書になることでしょう。マジで感動しました!
これは、著者である中条高徳氏(アサヒビール名誉顧問)が、ニューヨークの高校に通う孫娘からの16の質問に対して、1つひとつ丁寧に答えた「おじいちゃん」から「孫娘」への心温まる手紙です。「戦争の見方、体験は国によっても違いがあるはず」という歴史教師の考えを受けた孫娘が、戦争を体験した祖父へ宛てた質問状は、僕が高校生の頃には考えもしなかった鋭い視点に立っています。「アメリカとの戦争は正しかったと思う?」、「極東軍事裁判について、どう思う?」、「戦後の社会を見て思うことは?」、「天皇について、おじいちゃんの考えは?」などなど…。これに対し、愛する孫娘へ、日本人としての誇りを伝えようとする手紙は、感動すると同時に勉強になりました。その中で、あの戦争は正しかったと思うか、という質問に対し、おじいちゃんはこう答えています。
戦争の正邪は軽々しく判断すべきではないし、またできるものでもない。大切なのは正しかったか悪かったかを考えることではない。結果にとらわれず、その中身を1つひとつ正確に吟味して、いいはいい、悪いは悪い、ときちんと整理をつけて把握することだ。そうしてこそ、歴史に学び、その教訓を未来に生かすことができる。詫びなければならないものは、素直に詫びなければならない。しかし、日本はすべて悪かったととらえて、ただただペコペコと頭を下げるばかりなのは、歴史を正しく認識しているとはいえない。むしろ、歴史に対する冒瀆(ぼうとく)である。自分が生まれ育った国に唾するものである。(132・133頁)
1つのことを反対の角度から見ると、違ったことがわかってきます。歴史の事実を知って冷静に学び、お互いの立場に立って考える態度がとても重要だ、ということではないでしょうか。
おじいちゃんが孫娘に1番伝えたかったこと、それは、“日本人としての誇り”だと思うのです。僕も1人の娘を持つ親として、そういったことを伝えられたらいいなぁ、と思います。大それたことはできませんが、子供に対し、いいものはいい、悪いものは悪い、とはっきり言える大人でありたい、と強く思います。