久しぶりに、しびれるような素晴らしい本(絵本)に出会いました。 この本に収録されている2つの作品(『21世紀に生きる君たちへ』、『洪庵のたいまつ』)は、歴史小説家・司馬遼太郎氏が1989年に、小学校5・6年生の国語教科書用として書いたものです。たくさんの著作の中でも、子供のために書かれた作品はこの2編のみ、だそうです。 著者自身、21世紀にはこの世に存在しないことを前提に、筆を走らせています。まさに、未来の子供たちへの遺言、とでも言いましょうか…。
著者は、歴史とは何でしょう、と聞かれたとき、「それは、大きな世界です。かつて存在した何億という人生がそこにつめられている世界なのです」と、答えるそうです。そしてそれは、2千年以上の時間の中を生きているようなものであり、この楽しさを未来の子供たちに伝えたい、と言っています。歴史から学んだ人間の基本的な生き方を伝えたいのだ、と。
未来の子供たちに伝えたいこととして、まずは、大きな視点に立っての生き方を語っています。 「自然こそ不変の価値であり、人間は、昔も今も、自然によって生かされてきた。人間は、自分で生きているのではなく、大きな存在(自然)によって生かされている」と。当たり前のことのようですが、今現在、どれだけの人がそのように考えているのでしょうか? 僕も反省する面が多々あります。
次に、それぞれ自分自身のあり方についても語っています。 「自己を確立せねばならない。自分に厳しく、相手にはやさしく、という自己を。そのために、訓練をして身につけ、“たのもしい”人間にならなければならない」と。そうすれば、きっと、「いたわり」や「他人の痛みを感じること」のできる人間になり、「いじめ」による自殺などなくなるのではないか、と僕は思います。
この本は、漢字にルビが打ってあり、小さな子供でも十分に読める、と思います。そこで、バカ親の僕は、最近、本にはまっている5歳の1人娘に読ませてみたのですが、返ってきた感想がこれですわ〜。 「お父さ〜ん、全然、意味わから〜ん」。
小学校に入るまで、もう少し待とう、と思います(涙)。
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