今の若い人たちは、アントニオ猪木という人物に対して、どんな印象を持っているのでしょうか?
「1・2・3・ダァーーーッ!」の元気なオッサンと感じている人もいるでしょうし、他人をビンタしまくる気合の入ったオヤジだと思っている人もいるのではないでしょうか。はたまた、お笑い芸人・アントキの猪木の物まねキャラクターと捉えているのかもしれません。
でも、僕たちの年代の人たち(特に男性)にとって、アントニオ猪木は、史上最強のプロレスラーであり、スーパースターでした。当時、僕たちは猪木の代名詞と言われる「異種格闘技戦」に興奮しまくったものです。今の格闘技ブームの元祖と言っても過言ではないでしょう。
柔道金メダリストのウイリエム・ルスカ戦にはじまり、マーシャルアーツの達人、ザ・モンスターマン戦、熊殺しの異名をとる極真カラテのウィリー戦などなど、挙げればキリがありません。でも、その中で最も印象に残っているのは、やはり、モハメド・アリ戦でしょう。
プロボクシング現役ヘビー級世界チャンピオンとの1戦は、全世界から注目されました。当時10歳の僕は、学校から帰宅してテレビにかじり付き、その試合を観た記憶があります。「何で猪木は寝てばっかりおるんやッ!」と、ボヤキながら観ていたような気がします。
その試合は、後に、「世紀の凡戦」「茶番劇」と酷評されましたが、あれから30年以上のときが流れ、アリ戦の思いを猪木自身が綴った本『真実』が発売されましたので、早速、読んでみました。
アリ戦が実現するまでの苦悩、恐怖、そして、試合後のバッシング、多額の借金…。アリへの憎しみが、友情に変わる心模様など、「アントニオ猪木対モハメド・アリ」戦とは何だったのか?を猪木自身が素直に語っています。
著書の中で猪木が語るある部分に感銘を受けましたので、それを紹介したいと思います。
「ただ勝ち続けるだけでは、本当の強さは身につかないのだと今ではわかる。負けを知らないと、人間は強くなれないのだ。勝つことしか知らない人間は、本当の強さを身につけることはできない。本当の強さとは、『プロレスラーとしての強さ』ではなく、『人間としての強さ』のことだ」。 「アリの言葉に傷つき、アリを憎んでいた私には本当の強さはなかった。けれども、1度は憎んだアリを許せるようになったとき、改めてアリの偉大さを知ったとき、私は初めて『本当の強さ』を知るきっかけを得たのではないだろうか?」
「元気ですかぁー!」 「元気があれば、何でもできる!」 「行くぞォー! 1・2・3・ダァーッ!」 なんか、よ〜わからんけど、『アントニオ猪木酒場』に行きたくなってきました!
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