劇的な勝利をおさめた仙台戦は、今シーズンのホームラストゲームであるとともに、長年チームを支えてきたGK下田選手のラストゲームでもありました。
僕がサンフレッチェ広島に在籍していた頃、共にプレーしたことのある唯一の現役プレーヤー、それが下田選手です。
そんな下田選手がチームを去ることは、僕にとって非常に感慨深いものがあります。
喜怒哀楽を表に出す傾向にある近年のJリーグ選手の中において、下田選手は、どんな状況でも表情を変えずにクールにゴールマウスに立ちつづけていました。
これは、チームメートはもちろんのこと、GKに一番近いポジションのセンターバックにとって、これほど心強いことはなかったはずです。
下田選手のGKとしての能力の高さは、今さら言うまでもありませんが、彼の素晴らしさは、ケガをして試合に出場できなくなったここ2〜3年間の姿に表れているでしょう。
一時は日本代表まで上り詰めた超一流選手が、ベンチメンバーにも入れず、悔しい思いをしていたのでしょうが、彼の口からネガティブな発言や愚痴などを聞いたことがありませんでした。
どんな状況に置かれようとも、常に前向きに日々のトレーニングに臨む姿は、真のプロフェッショナルを感じさせてくれました。
もし、人生に“勝ち組”と“負け組み”があるのだとすれば、下田嵩という男は、間違いなく“勝ち組”の人生を歩むのではないかと思います。
今後の進路は、まだ未定ということのようですが、彼が今後、どのような道に進んだとしても、それが正しい選択だと僕は思います。
そして、いずれまた、サンフレッチェ広島に戻ってきて、素晴らしい指導者となり、第2の下田嵩を育ててほしいと思います。
シモちゃん、本当にお疲れさまでした。
PS.ビッグアーチでの退団スピーチ、ぶち素敵じゃったよ!
※ 『紫の蹴球道!』を更新しました。
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