8月6日の「原爆の日」が近づいてきました。
広島人であれば、一年365日の中で、この日ぐらいは、平和についていろいろと考えなければならないと思います。
そんな折、まさに、広島人のために書かれた平和に関する教科書ともいえる、素晴らしい本に出会いました。
金文学・著=『広島人に告ぐ!』(南々社)です。
広島を愛するゆえに、殴られる覚悟で書いたという、著者の画期的広島批判は、実にわかりやすく納得がいくものでした。
金氏の言わんとすることを簡単にまとめると、以下のような感じです。
今の「平和」を叫ぶだけの平和活動では、戦争や敵対行為からの自由を確保できず、進行性のない“平和停止状態”になっています。平和都市だからといって、平和ばかりを強調して、結局、それと関連する、あるいはそれを支えてくれる「文化」を育てようとはしませんでした。平和ばかりに目を向けるのではなく、もっと広く、平和とのつながりのあるいろいろな文化的なもの、戦争学、平和を守るためにはどうすべきかなどに目を向けて、幅広く意見を聞き、取り入れていかなければなりません。 しかし、残念ながら、前市長の秋葉さんの時代には、「平和一辺倒」の政策を推し進め、広島のアイデンティティーとしての“美しい文化力を発揮する都市”をまったくアピールしませんでした。 平和は、柔らかい文化によってもたらされるのです。文化の力が強くなると、戦争に対する抑制力が自動的に強く働くようになります。文化が成熟して皆が豊かな生活をするようになると、誰も戦争をしたいとは思いません。広島は平和ばかりを叫んでいますが、むしろ叫ばない時にこそ、平和は来ることを知っておくべきでしょう。
以上が、僕なりに要約した本の内容です。
こうしてみると、松井新市長が就任後の会見で語った「平和一辺倒から市民の文化、生活を大事にする市政へ戻す」というビジョンは、著者・金文学氏の意見と合致します。
広島が世界にアピールすべきものは、「文化」です。
美しい山、美しい川、美しい瀬戸内海、清くて美しい水、美味しい食材の数々…。国内的にも世界的にも珍しい都市・広島。そして、その美しい文化を形成するものの中には、広島カープがあり、サンフレッチェ広島があり、広島のスポーツがあることは、言うまでもありません。
8月6日、松井市長が、どのような平和宣言を語るのか、注目です。
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